言葉に込められた想い

 ありがとうございます。

 この言葉を口にすれば感謝したことになる。と勘違いをしている人がいます。


 ごめんなさい。申し訳ございません。

 この言葉を口にすれば謝罪したことになる。と勘違いをしている人がいます。


 言葉を口にするのはあくまで行動です。
 そこに気持ちがこもって初めてその言葉は意味を持ちます。
 気のない「ありがとう」は言われて逆に気分を害し、口だけの「ごめんなさい」は喧嘩を売られているようにさえ感じる方もいらっしゃるかと思います。

 ムスッとした態度で「ありがとう」なんて言葉を心から発しているとはとても思えませんし、笑いながら「ごめんなさい」と言われても軽くしか感じません。


 話は変わりますが、二年前のぽっぷかるちゃーフェスティバルでの声優の神谷明さんのご講演で、「怒る演技をするときは、笑っていてはできない。顔も体も怒りの状態にして初めて本当に怒っている縁起が出来る」という話をされていました。そこには心ももちろん込められていると思います。
 だからこそ俳優の竹中直人さんの、笑いながら怒る、というのは一つの芸として成り立つほど凄いことなのだとも同時に思いました。

 では、ありがたいと思っていないのに「ありがとう」と言われて感謝をされていると思えるでしょうか。
 とりあえず謝っておけ、としか思っていないのに「すみません」と言われて謝罪されていると思えるでしょうか。

 本当に有難いと思えば、考えずとも体中から感謝を伝えたい想いがあふれ出し、口をついて「ありがとう」という言葉が出ます。もちろんその程度にはよると思いますが、少なくとも気持ちがあれば言葉に想いはこもっているはずです。
 本当にすまないと思えば、態度から申し訳ないという気持ちが伝わってくるものです。

 この心からの言葉にこそ宿るのが「言霊」です。


 そして言霊は人の心に響き、その思いを強く受け取ることができます。


 我々神職はなかとりもちです。
 誰かと誰かの中を取り持つことが役割で有り、その最たることが大神様と参拝者の中です。
 大神様へは参拝者の心からの想いを祝詞に込めて、自らの事の如く言霊を届けます。
 そして自分の伝えた想いこそが、大神様に伝わったと胸を張って言えるよう誠心誠意ご奉仕致します。

 だからこそ、我々は正しい言葉を知らねばなりませんし、なにより強い想いを伝える力を持っていなければなりません。

 その手段を勘違いしている人も居ます。
 なかなか人に伝わらないからと、まくし立てる、ものすごい剣幕で話す、といった手段をとる人。そうすればするほど、人は聴く耳を失っていきます。理解しようとする気持ち以上に、もう聞きたくないという気持ちの方が強くなってしまいます。
 まるで小さなお子さんが駄々をこねているような、そんな姿は余計に気持ちを自分から遠ざけてしまいます。

 相手がわかって貰えない事に腹を立てるのではなく、自分が上手く話せていないことを反省し、冷静に言葉の一つ一つを大切にして相手に伝えることが、人に正しく想いを伝える手段で有り、それは大神様へ伝える手段であると信じています。

 仲介者である神主は、祈願者の想いを充分に理解し、気持ちを汲んだ上で、その方の為のご祈願を大神様にお伝えします。
 そこに自分自身の都合は関係ありません。
 一所懸命にあらん限りの力でご奉仕申し上げます。
 だからこそ、皆様の想いを、どうか我々にお伝え下さい。
 広げられるだけ心を広げて、その想いをお預かりし、言葉に込めて大神様へお伝え申し上げます。


 と、偉そうに書いてみましたが、要するに、我々神主は言葉を発するという事を常日頃より大切にしないといけないんですよ、と自分に言い聞かせております。もっと勉強せねば。

プロフィール

厄除の宮 駒林神社

Author:厄除の宮 駒林神社
兵庫県神戸市長田区駒ヶ林町3-7-3鎮座
由緒正しい厄除の宮「駒林神社」です。

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